上の画像は現在の二軒茶屋の船着き場の画像になり、右奥が伊勢湾(大湊、神社)方面になります。
二軒茶屋(にけんぢゃや)は勢田川(せたがわ)の河畔にあり、海からの参宮客の上陸地点として発達しました。「湊屋(みなとや)」と「角屋(かどや)」の二軒の茶店があって共に繁昌していたことから、参宮道者の口から口へと伝えられ、二軒茶屋の名が付いたと伝えられています。
尾張、三河、遠江方面の農漁民は毎年7月になると乗り馴れた八丁櫓の漁船で知多半島や遠州灘を出発して伊勢湾を縦断(横断)し大湊へ入ってきました。大湊から勢田川水域に入ると「ドンドコ、ドンドコ」と太鼓や笛、鐘で賑やかに囃し立てながら景気よく繰り込んできて神社(かみやしろ)やここ二軒茶屋に上陸しました。土地の人々は彼らのことを「どんどこさん」或いは「道者さん」と呼んで歓迎したそうです。
二軒の茶店のうち湊屋は早くに無くなりましたが、天正4年(1575年)創業の二軒茶屋餅で有名な角屋は繁昌を続け、大正12年(1923年)に味噌、溜りの醸造を始め、平成9年(1997年)には地ビールの「伊勢角屋麦酒(いせかどやびーる)」を創業しました。
角屋と船着き場の間には明治天皇御上陸記念碑が建立されております。明治5年(1872年)5月25日に明治天皇が重臣たちを従えて海路で神宮参拝に来られた際に、ここ二軒茶屋に上陸し、ここより馬車で神宮に向かわれたそうです。
明治30年(1897年)の参宮鉄道の山田駅(現在の伊勢市駅)開業までは船参宮も盛んでここ二軒茶屋や神社(かみやしろ)に上陸していましたが、山田駅開業により船での参宮は激減しました。昭和12年ころまで二軒茶屋に上陸する参宮者がいたそうです。
角屋本店で二軒茶屋餅をいただきました(^o^)。あずき餡のたっぷり入った薄皮のお餅に挽きたての香ばしいきな粉がまぶしてあります。
角屋本店と二見街道を挟んだ反対側にある麦酒蔵(びやぐら)の売店の画像です。老舗餅屋が造る伊勢志摩唯一の地ビールメーカー伊勢角屋麦酒の直営店になります。
店内では色々なタイプのビールが販売されています。お土産に何種類か買ってきましたのでご紹介します。
左側は1997年当時のペールエールの復刻版、中央は「ねこにひき」、右側は昭和50年代はじめころまで小川三左衛門商店で製造されていたエスサイダーの復刻版になります。
伊勢志摩限定の「神都ビール」の3本セット。早速いただきました!
出典:昭和46年 三重県郷土資料刊行会発行 野村可通著 伊勢古市考、昭和58年 古川書店発行 中川竫梵著 増補 伊勢の文学と歴史の散歩、wikipedia