今回は伊勢街道の桜の渡し跡付近に架けられている宮川橋をご紹介します。
昭和初期に発行された絵はがき「昔のお伊勢まゐり(宮川の渡し)」の画像です。原画は安政2年(1855年)に発行された歌川広重の「伊勢参宮 宮川の渡し」です。当時の様子を伝える図絵でおかげ犬も描かれています。
「昔のお伊勢まゐり(宮川の渡し)」と同じ角度で撮影した現在の桜の渡し跡の画像です。
江戸時代、「お伊勢さんほど大社はないが、なぜに宮川、橋がない」と俗に謡われたように宮川に橋は架けられておらず、渡し船が利用されていました。その理由はいうまでもなく宮川の洪水・氾濫であり、暴れ川として恐れられていました。洪水被害で最も早い確かな記録に霊亀3年(717年)8月の大洪水があります。
江戸時代の初期は山田奉行の監督下で船賃を徴収していましたが、第10代山田奉行・桑山丹後守貞政(任期:寛文5年~天和4年・1665年~1684年)のときに無料にして費用の負担は御師がすることになりました。やがて費用は宇治と山田の町が負担することとなり、大変な重荷になっていました。
そして明治元年(1868年)の税法改正の際に、渡し船の労力を減らすために初めて仮橋が架けられました。このときの仮橋は長さ1004尺(約304m)、幅12尺(約3.6m)でありました。しかしながら架橋から1年も経たない翌年7月の洪水で、この仮橋は流失してしまいました。その後はやむを得ず渡し船が復活していましたが、明治12年(1879年)5月に再び仮橋が架けられ、明治15年(1882年)12月に架け換えられました。明治17年(1884年)には有志が発起して188間(約342m)の本橋を架けることを計画しましたが行われませんでした。その後、三重県の事業として仮橋を架け、明治21年(1888年)4月より宮川仮橋保存請負(平常時は仮橋の保存修理に注意し、洪水の場合は板敷並びに高欄向等を取り外し、平水以上8尺に達したら速やかに渡船を開き、平水に復したなら即時原形の如く架橋するという契約)という形になりました。(宇治山田市史上巻 第5章・第2節 交通)
明治30年代に発行された絵はがき「伊勢 宮川」の画像です。参宮鉄道(現在のJR参宮線)の宮川橋梁が完成していて、絵はがきの宛名面に掛け線がないので明治30年から40年の間の発行となります。
この画像は小俣側からの撮影になり、右側に仮橋が写っています。仮橋といっても立派な木橋で桜の渡しの方に向かって更に小さな木橋が架けられています。鉄橋の上に人がいますので参宮鉄道の開通前の画像でしょうか?
現在の画像です。宮川橋の奥に写っている山は朝熊山です。
明治40年以降に発行された絵はがき「伊勢 宮川」の画像です。仮橋の構造がよくわかる画像ですね。
明治42年(1909年)2月6日のスタンプ印のある絵はがき「伊勢宮川の鉄橋」の画像です。この画像は宮川町側からの撮影で、絵はがきは左右反転してしまっています。この木橋も「伊勢 宮川」と同じ仮橋です。
現在の画像です。宮川橋が架け替えられて立派になっている以外はあまり変わっていないですね。
大正13年(1924年)5月10日のスタンプ印のある絵はがき「伊勢 宮川鉄橋」の画像です。大正8年(1919年)3月に永久橋(木橋)が架けられたので画像の左側に写る橋は永久橋ということになりますね。残念ながらこの橋の全体が写る画像は手元にありません。
この橋は昭和21年(1946年)7月に増水により流失してしまいました。
小俣側の橋詰から撮影した現在の画像です。現在の宮川橋は昭和28年(1953年)9月に架けられました。この年の10月に第59回式年遷宮が行われましたので、それに合わせた架橋でありました。
同月17日には第1回の伊勢神宮奉納全国花火大会が開催されました。
宮川町側から撮影した画像。現在、宮川橋は架け替え工事が進んでおり、200m程下流側に新しい新宮川橋(仮称)を建設中で、新橋開通後にはこの橋は撤去されるそうです。もうすぐ見納めになるのですね。
朝夕の通勤ラッシュ時には度会橋が大渋滞するので、この宮川橋は両側に車同士のすれ違いが困難な所も多いのですが迂回路として大変重宝するルートになります。
高向(たかぶく)側の橋脚建設現場の画像です。計画では小俣側は伊勢街道と参宮線の間に接続道路を建設するようなので便利になると思われますが、高向側は南北道路に接続するようです。伊勢街道にも接続させないと不便になってしまいますが、どうなるのでしょうか?
出典:伊勢市ホームページ 名勝宮川堤保存管理指針 第2章名勝の概要と構成要素・宮川堤の歴史年表、昭和4年 宇治山田市役所発行 宇治山田市史上巻
本日はタクシー観光でお世話になりました^^詳しい説明のおかげで、お伊勢巡りが良いものになりました。
こちらこそ楽しく案内させていただくことができ、ありがとうございました。是非またお伊勢詣りにいらしてください。