熊野街道(熊野古道・伊勢路)①の続きになります。外城田川を渡ってすぐの信号から県道13号線となり、しばらく熊野街道は拡幅された県道と重複します。拡幅されていますが、直線部分の少ない旧街道らしい道なります。
玉城町蚊野茶屋(かのちゃや)には文字通り、かつては街道に沿って茶屋が並んでいました。近くには内宮摂社である蚊野神社があります。
玉城町原(はら)に入ると旧街道(右側)とバイパスに分かれます。
分岐の間には観音堂があり、西国三十三所の観音石像が安置されております。
旧街道を挟んだ反対側には円通山・石佛庵(いしぶつあん)跡があります。石佛庵は文政8年(1825年)の開基とされ、昭和23年(1948年)に廃寺となり、本尊道引観音や秘仏延命子安地蔵は同じ原にある光徳寺(こうとくじ)に預けられています。
江戸時代は観音信仰が盛んで、伊勢参宮をすませた後は田丸で巡礼衣装に着替え西国巡礼者となり、石佛庵の道引観音・西国三十三所の観音石像を参拝して巡礼の無事を祈ったそうです。
観音堂、石仏庵跡から少し進んだ旧街道沿いの町並みの画像です。
旧街道を進みますと原から多気町野中(たきちょう のなか)に入り、しばらくすると永昌寺(えいしょうじ)が見えてきます。手前は大日堂になります。
永昌寺から少し進みますと和歌山別街道と分岐します。和歌山別街道は野中で分岐し、仁田(にた)、丹生(にゅう)、朝柄(あさがら)を経て粥見(かゆみ)で和歌山街道と合流する約21kmの街道です。和歌山別街道は紀州藩の和歌山城と田丸城を結ぶ藩道として、伊勢神宮から吉野・高野山への巡礼街道として賑わいました。
道標横にある説明看板の画像です。
和歌山別街道との分岐点からしばらく進みますと県道119号線と合流します。県道は拡幅されていますが、成川(なるかわ)の集落で旧街道と分岐します。
成川の集落を過ぎ、県道と交差するところが、熊野古道・女鬼峠(めきとうげ)の入口になります。伊勢神宮を出発し、最初の難所がこの女鬼峠でした。ウォーキングをする場合、成川側は道が荒れていますので、反対側の相鹿瀬(おうかせ)側からがおすすめです。
熊野街道(熊野古道・伊勢路)③に続きます。
出典:平成17年 玉城町発行 玉城町史上巻・下巻