朝熊登山鉄道①の続きになります。今回は楠部(くすべ)停車場から平岩(ひらいわ)乗換場までの廃線跡を辿ってみたいと思います。
前回①でご紹介した楠部停車場の絵はがきとは撮影角度の違う絵はがき「伊勢朝熊登山鉄道 楠部停車場」の画像になります。こちらの絵はがきのほうが朝熊山のシルエットが分かり易く撮影されております。
現在の様子です。なかなか同じ角度や遠近感で撮影するのは難しいですね。
朝熊登山鉄道の平坦線は楠部停車場を出ますと少し南(内宮方面)へ進み、現在の近鉄鳥羽線の手前で左にカーブし五十鈴川を渡っていました。楠部停車場からここまでは道路整備、圃場整備などで全く線路跡の痕跡がありません。
上の画像の辺りに鉄橋があったと思われますが、明確な遺構はありません。川の中央の川底にあるコンクリートの塊?が橋脚の跡でしょうか?
五十鈴川の対岸(朝熊側)からの撮影した画像です。この足下に線路があったと思われます。
廃線跡を利用した道路をしばらく進みますと、右手に伊勢市立四郷(しごう)小学校ある辺りから先は廃線跡は県道37号線として利用されております。
四郷小学校を過ぎてすぐに神宮神田(じんぐうしんでん)の入口があり、その前の歩道が少し広くなっており、ここに「五十鈴川停車場」がありました。
絵はがき「伊勢朝熊登山鉄道 一宇田停留所付近」の画像です。
現在の「一宇田(いちうだ)停留所」のあった付近の画像です。五十鈴川停車場跡から県道37号線を1,5kmほど進んだところで、現在でも陸橋がありますので分かりやすいです。
絵はがき「伊勢朝熊登山鉄道変電所付近」の画像です。変電所付近とありますが電車の横にはホームが写っており、朝熊村(あさまむら)停車場がありました。
当時の変電所の建物は現存しております。屋根等がリフォームされていますが白い建物がそれに当たります。この建物沿いの道路の先は近鉄線建設のためか行き止まりになっております。
朝熊川(あさまがわ)に架かる新朝熊橋(しんあさまはし)を渡り、信号交差点を右折し近鉄鳥羽線の高架を潜りますと、廃線跡を利用した道路になります。
人家も疎らな細い道路さらにを進みます。この道路の上を以前は電車が走っていたとは、とても思えませんね。
さらに進みますと、一軒の人家がありその前が平岩停車場のあった場所となり、この道路上に平坦線の線路がありました。
絵はがき「伊勢名所 東洋一を誇る朝熊岳ケーブルカア」の画像です。画像左下に平坦線の線路が見え、右が鋼索線(ケーブルカー)の乗り場になります。
鋼索線の乗り場には階段状のコンクリートの遺構が残されております。現在は私有地になっており、許可を得て撮影しております。
絵はがき「平岩乗換場ヨリ ケーブル線ヲ望ム」の画像です。平岩乗換所の違う角度で撮影された絵はがきです。画像左下の屋根の下にある階段部分が上の画像の部分になります。次回、朝熊登山鉄道③に続きます。
出典:昭和4年 宇治山田市役所発行 宇治山田市史 上巻